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週末起業でたこ焼き屋

いま話題の民泊事業は儲かるのか

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自民党が政権に復帰した2013年以降の円安によって海外からの旅行者が増え始めて新しいビジネスが誕生した。

2009年7月21日に衆議院が解散。選挙の結果、民主党政権が誕生した。

民主党時代の約3年間は1ドル70円台という円高が続いていた。現在が1ドル103円程度なので30円も高かったことになる。ここまで円高が進むと輸入品は安く買える半面で輸出は低迷。

さらに外国人観光客も激減するといった事態になった。しかしながら2013年に自民党が政権に復帰して以降は中央銀行主導の量的・質的緩和政策によって円安となる。その頃から外国人観光客が増加しインバウンド消費なる言葉まで生まれた。

ドル円の推移

出典:世界経済のネタ帳

2008年に民泊紹介サイトAirbnb (エアビーアンドビー)が誕生

2008年にアメリカ人であるブライアン·チェスキー(Brian Chesky)とジョー・ゲビア(Joe Gebbia)の2人が立ち上げた民泊紹介サイトであるAirbnbは今や世界中の主に民泊と言われる宿泊施設を紹介するサイトとしては世界シェアNo.1となった。このサイトが有名になるにつれて世界中の民泊ビジネスが急上昇する。

当初は海外だけだった同社のサービスは2014年5月に日本法人のAirbnb Japanが、東京(渋谷マークシティ内)に設立されたのをきっかけに日本国内でのマーケットを創出した。

ここ数年における円安もありホテルと比べて安く泊まることのできる民泊が主に外国人観光客の間で大ブームとなる。その経済効果は2015年の1年間に日本国内において5207億円(約44億ドル)の経済効果を生み出しており民泊経営者1人当たりに平均で約120万円の利益をもたらした。

Airbnb Japanは2016年9月段階で掲載件数が20000件を突破しており、私が住んでいる地方都市の掲載数もうなぎ上りで増加している。このような状況の中で不動産バブルと言われている現在では賃貸マンションとして貸し出すよりも民泊事業の方が儲かると判断した不動産投資家などの新規参入が数多く見受けられる。

例えば以下のようなシュミレーションをしていることになる。

賃貸マンション1K・・・1カ月当たりの賃料35000円。

民泊として運用する・・・1泊8000円として5回程度利用されれば45,000円。家賃よりも売上が上がる。

さらに低賃料のワンルームマンションでは賃料の遅延なども発生する可能性がある。民泊ならば宿泊料金の遅延が発生する可能性は限りなく低い。つまり、宿泊者さえ確保することができれば普通に賃貸マンションとして運用するよりも利回りが高くなるというのだ。

民泊施設は大きく分けて2種類

Airbnb Japanに数多く登録されている民泊施設は大きく分類して2種類ある。それは違法施設と合法施設の2つ。

基本的に民泊は宿泊施設なので旅館業法に基づいた営業許可が必要となる。もちろん例外もあり偶発的に1回だけお金を取って宿泊させたなどのケースでは営業とは言えず営業許可が必要ではない。では、どのようなケースで営業許可が必要となるのか。以下の要件を満たしている民泊施設は営業許可が必要となる。

  1. 宿泊料を取っている

  2. 不特定の人を客にしている

  3. 継続して客を募集している

  4. 利用者の生活の本拠でない

つまりAirbnb Japanに掲載している段階で上記の1~3の項目に当てはまり営業許可を取得していない民泊施設は旅館業法に違反することになる。しかしながらAirbnb Japanに掲載されている大半の民泊施設は営業許可を取得していないのが現状。

実は私の知人が2016年8月から民泊事業をスタートさせている。開業前に室内の写真などを撮影したり微力ながら開業準備を手伝った。

彼の場合は違法民泊ではなくきちんと営業許可を取得して開業している。民泊施設として営業許可を取得するのは極めて困難なこと。例えば受付カウンターや消防設備の設置など多額の費用が発生する。消防関連の設備に関しては貸し出す部屋だけではなく建物全体に行う必要があり現状ではマンションなどで民泊事業をする場合はビルオーナーでなければ不可能に近い。

営業許可の取得は多額の初期投資が発生するうえで必ず要件が満たされるとも限らない。なので違法民泊施設が大半を占める状況になっている。知人が営んでいる民泊施設のまわりには違法民泊施設で溢れかえっている。

Airbnb Japanを見ると彼の施設のまわりには違法民泊施設だらけ。利用者である外国人旅行者は「違法」か「合法」かなど気にしていない。彼らが注目しているのは宿泊費用とロケーションのみ。現時点では「正直者はバカを見る」という状況なのだ。

違法な民泊施設はどうなるのか

それでは堂々とAirbnb Japanに掲載して営業している違法民泊施設は摘発も受けずに営業し続けられるのだろうか。違法民泊施設の摘発事例を調べてみると摘発のきっかけは近隣順民による告発がほとんどのケース。いきなり見知らぬ外国人が近隣のマンションに出入りして夜中に騒いでいたなど。

このような場合、通報を受けた保健所が立ち入り検査を行う。このような違法民泊は営業許可を取得することが不可能な物件が大半なので是正勧告ではなく無許可営業の停止を求める内容となる。それでも従わない場合は警察に対して告発するという流れだ。

しかしながら現実は保険所の人手不足などの理由から警察への告発までに至らない。せいぜい保険所の職員が訪問して「営業を止めてください」とお願いするというレベル。このような状況だからAirbnb Japanに掲載している違法民泊施設が無くならない。

知人の民泊施設の民泊は合法だ。しかしながら、それをアピールして売上向上に繋がる施策は今のところ無いと言っても過言ではない。日本は規制が厳しく自由にビジネスが出来ないから緩和しろと外国勢は言っている。

それを具現化したものの1つがTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)となる。政令指定都市の1つである広島県では下記のような啓蒙活動を行っているが効果が目に見える形になっていない。

許可業者を公表 サイト掲載9割違法 「合法物件利用を」 広島市・来月 /広島

世界遺産・原爆ドームや平和記念公園の周辺など広島市内で、個人宅を旅行者に有料で貸す無許可の「違法民泊」が横行している。市の調査で、大手の民泊仲介 サイトに掲載された民泊の9割以上が違法だったという。安全や衛生面に問題があるケースもあり、市は9月から旅館業法上の許可を受けた業者名を市のホーム ページで公表することを決めた。担当者は「環境が整った合法的な物件の利用を促進させたい」と説明する。

出典:毎日新聞

ここで正常な神経の人ならば記事の「見出し」を読んで驚愕すると思う。なんと、90%の民泊施設が違法という事実。市場原理とは無情だ。さらに言えばグローバル社会の中で当該国のコンプライアンスはセールストークに使えないのだ。いくら民泊施設オーナーが「私の施設は合法だ!」と叫んでも売り上げに貢献することはない。

それだけ市場原理とは無情なのである。

合法施設に宿泊することによるメリットを行政は正確に発信していないと私は考える。

しかしながら、情報の発信方法を工夫することによって今後の動向は変わってくるとも言える。そればズバリ富裕層の獲得だ。お金を持っている人達は日本人だろうが外国人だろうが安心・安全を重視する。オフィシャル(公式)な基準で認められた民泊施設には違法民泊施設と比べて高額でも確実に客は来る。しかしながら、現時点ではそのような外国人は高級ホテルに宿泊する。ここが、このビジネスのポイントなのだ。この部分については後述する。そして話は戻るが

私が知人の民泊施設開業における支援を申し出たのは彼の一言だった。

「広島の福山市にあったラブホテル火災を憶えていますか?」

福山ホテル火災

福山ホテル火災(ふくやまホテルかさい)とは、2012年(平成24年)5月13日に広島県福山市のホテル「ホテルプリンス」で発生した火災事故。7名が死亡した。

建築基準法および消防法に違反した建築物を使用し長年営業していたうえ、行政側も見過ごしていたことが被害拡大を招いたとして問題になった。なお報道では「広島ホテル火災」もしくは「広島・福山ホテル火災」などとも呼称されている。死者が3名以上出た宿泊施設の火災は、1994年に発生した福島市飯坂温泉の火災以来になる。

出典:wikipedia福山ラブホテル火災事件

つまり彼は俗にいうコンプライアンスを順守するなどと言う表面的な動機ではなく「宿泊する人の安全を確保しよう」と純粋に思ったからこそ資金的にも不安がある状態で高コストをかけて営業許可を取得したのだ。

旅館業法で営業許可を得るのは大変なこと。それはカーペットからカーテンに至るまで消防法に準拠して高額な防炎カーテンなどの導入が必要だからだ。

私は、この段階で「あぁ、この人は成功するだろう」と確信した。

それは、利益を求めるがあまりに「本当に必要なコスト」を無視することなく「痛み」を甘んじて受け入れる考え方の人間だから。

現段階では彼の投資と努力は報われてはいない。しかしながら、近い将来に彼の「純粋にお客様の幸せを望む心」は報われると考えている。このような無法状態が続けば必ず大参事に繋がることは過去の様々な事例を見ても理解できる。

私は過去に数多くの経営コンサルタントの先生と一緒に酒を呑んだ経験がある。

その際に「どのようにしたら一流の経営コンサルタントになれると思う?」と聞かれ当時はまだ若輩者だった私が「先生、ごめんなさい判りません」と答えると「ははは、それはね、成功する人だけを顧客にすることだよ」と言われたことを思い出す。大半の成功しているコンサルタントの先生は一応に同じことを言っていた。このような純粋な動機で痛みを受け入れるような人間は成功していくはずだ。

民泊ポリスなるサイトが登場

このように現状の民泊ビジネスは違法民泊施設の天下とも言える状況。しかし、世の中そんなに甘くはない。東京都大田区に本社を置く
株式会社オスカーは2016年5月に民泊ポリスというサイトを開設した。

民泊ポリスは完全匿名で違法民泊施設の情報を受け付けるサイトで受け付けた情報を基に確認後、保険所やオーナー管理会社などに違法民泊施設の情報を提供するといったスキームだ。後の処分に関しては関係当局や管理会社などに一任するという。

民泊ポリスの開設経緯には以下のように書かれている。

運営者の住むマンションにて民泊宿泊者によるゴミ置場の異常なほどのルール無視や騒音から、無責任な民泊提供者に強い憤りを感じたため。憤りにより生まれ、善意により運営されています。
あまりいじめないでください。

当サイトでは2016年9月15日現在までに下記の実績があると記載されている。

  • 通報件数604件
  • 調査済368件
  • 特定194件
  • 特定不可42件

全体から見れば氷山の一角だと思うが当サイトのような活動の積み重ねが行政を動かす場合も少なくはない。当ブログを書いている2016年9月の段階では違法民泊において火災や重大な事故が起こったというような情報は得られていない。しかしながら、違法民泊の多くが消防設備などの人命に関わる部分が疎かになっている。重大な事故や事件が発生する前に行政には動いてほしいものだ。

外国人観光客の現状

2013年と2015年の訪日外国人観光客の数を比較してみると約2倍に膨れ上がっている。これは安倍政権になって以降の円安誘導が大きな要因だと言える。東アジアの中でもトップクラスに治安が良く経済大国である日本は彼等にとってみれば旅行しやすい国だろう。このような急激な外国人観光客の増加はホテルや飲食店などのサービス業も多大な恩恵を受けている。

訪日外国人旅行者の推移

出典:観光庁

民泊事業を営む人の大多数が外国人観光客をメインターゲットにしている。上記のグラフを見ても解るように3年前と今では対象とするお客様の数は2倍以上になっている。もちろん市場が拡大していくにつれて競合も増えていく。外国人観光客にアピールするためにはAirbnb Japanに掲載するしか現状としては方法がない。各民泊事業者はAirbnb Japanの中でしのぎを削っている。

外国人観光客が訪日する目的

ここから先は私自身の私見となるが、外国人観光客の多くは日本にバケーション(休暇)をとりにきているのではないと思う。バケーションをしたいのであれば日本よりも素晴らしい保養地は世界中たくさんあるのだから、わざわざ日本に来る必要はない。では外国人は何を目的で日本に来ているのか。大きく分けて2つの理由があると推測する。

  1. 日本という異文化を体験する。
  2. 安全・安心な日本で好きなところを歩き回り体験する。

上記の2点が主な目的なのではないだろうか。つまり彼等はバケーション(休暇)ではなくエクスペリエンス(経験・体験)をするために訪日しているのだと考えられる。営業許可を取って合法的に営業をしている民泊事業者は上記の2点のポイントを押さえた運営をして差別化を図ってみたらどうだろうか。もちろん合法なので違法民泊施設と比べて堂々と実施できる施策は多いはずであり、安心・安全に経験できる様々な工夫やサービスを実施することによって付加価値を付けていき客単価を上げていく。実際、価格競争では違法民泊に合法民泊は勝てない。ランニングコストや初期投資が違法民泊に比べて高額だというのが理由だ。

民泊事業のランニングコスト

それでは民泊事業は儲かる商売なのだろうか。私の知人は内装工事や防災設備の設置などで初期投資を200万程度行っている。さらに以下のコストがランニングコストとして発生する。

  1. 家賃
  2. 水道光熱費
  3. インターネット回線費用
  4. クリーニング費用
  5. サニタリー費用
  6. セルフ朝食などのサービスを行う場合は食材費
  7. Airbnb Japan等に支払う広告宣伝費

私の知人は事業を開始してから布団などのクリーニング費用が想像以上に高額だったと語っている。普通の家庭で毎日のように布団のシーツをクリーニングするということはない。しかし民泊は宿泊施設なので当然ホテルのクリーニング業務と同じような業務が発生する。上記の全ての費用を差し引いても利益が残るような設計にしなければ儲からない。

なので必然的に価格競争に巻き込まれては利益が出ない。従って付加価値を付けて客単価を上げていくことが必要となる。安心・安全で素晴らしい経験が出来る施設ならば世界中のユーザーから評価され適正価格での提供および稼働率100%になるのも夢ではない。そうなれば儲かるビジネスになると考えられる。

民泊事業で懸念されること

主に外国人観光客をターゲットとしている民泊事業において経営者が最も懸念していることの1つに騒音問題がある。マンションでも一戸建てでも近隣住民に騒音で迷惑をかけ続けていると必ず苦情や通報などを受けることになる。しかしながら、経営者も宿泊者を24時間監視することはできない。一般的なホテルと違い民泊の場合は防音対策も一般家庭レベルなので騒音問題は永遠のテーマとも言える。

民泊センサー「ポイント」

出典:民泊センサー「ポイント」サイト

そんな騒音問題の画期的なソリューションを提供している会社がある。京都市下京区に本社をおくジェイピーモバイル株式会社だ。この会社が販売している民泊センサー「ポイント」ははスウェーデン生まれのセンサーで自宅の騒音、温度、湿度を24時間監視してアプリやWEBで常に状態を把握することが可能だという。

また、事前に騒音異常値を設定することができる。その異常値を超えた場合はゲストへ自動で伝えることが可能。もちろん民泊経営者もスマートフォンなどでリアルタイムで状況を把握することが可能だ。私が民泊経営者なら必ず導入するだろう。

民泊ビジネスの可能性

今回、知人が民泊事業をスタートさせたこともあり色々と調べてみたが民泊ビジネスはまだ始まったばかりで曖昧な部分も多い。しかしながら、初期の段階で参入することは運用ノウハウの蓄積や業歴が長くなることによる信用性の向上などメリットも多い。

今後、様々な民泊向けのソリューションが出てくると予想される市場なので民泊に関係する全ての業界にとってのビジネスチャンスになる。当然、私が営んでいる飲食事業においても外国人観光客の需要によって助かっているお店は多い。実体経済が疲弊する中で中小零細企業が外貨を得る手段としてのインバウンドビジネスは可能性がある。

日本は輸出型モデルから内需型モデルへと経済構造を変えていかなくてはならない。その1つの分野が民泊ビジネスだと言える。

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