様々な事情で住む人がいなくなった家。少子高齢化が進む中で増え続ける空き家の活用法を考える。
増え続ける空き家
首都圏ではオリンピック開催の影響や相続税対策でタワーマンションが飛ぶように売れている。その反面、地方都市では空き家が増え続けており空き家の中にはゴミ屋敷になったり不法占拠するホームレスまで現れている。そんな空き家は一体どれくらい増えているのか
出典:総務省統計局
上記のグラフを見る限りでは空き家は加速度的に増え続けており、その流れは今後も続くことが予想される。地方では一軒家が空き家になるケースが多い。対照的に首都圏では共同住宅(分譲マンション)が空き家になるケースが多数を占めるという。マンションならば相続後に転売することも容易なのに対し地方都市の一軒家は木造が多く建物が老朽化しているため流動性が低いのが現状です。
シェアハウスという生き方
近年シェアハウスという賃貸住宅が盛り上がりを見せている。シェアハウスとは一つの建物に複数人数で生活するスタイルの賃貸住宅を意味する。シェアハウスに住む人の多くは若年層で占められており毎日の生活を他人と共同で行っている。国内におけるシェアハウス運営管理最大手の株式会社オークハウス(本社:東京都渋谷区、社長:山中 武志、以下オークハウス)がリリースするシェアハウスは若者に大人気で空室率は限りなくゼロに近い。
そんなオークハウスが最近リリースしたシェアハウスでソーシャルレジデンス南浦和が話題になっている。ソーシャルレジデンス南浦和は元社員寮。それぞれの部屋は決して広くはないが防音性が高くプライバシーを保つには十分な性能。共用設備も充実しており楽器で演奏することも可能な防音室やフィットネス室など共用施設の充実ぶりは素晴らしいの一言。
仕事を終えて真っ暗で冷たいワンルームマンションに帰宅。睡眠をとり翌朝はまた出勤といった独身者の寂しい生活はシェアハウスでは存在しない。いつも誰かが共有施設にいて親しいシェア友達からは「あっおかえりなさい」と暖かい声をかけられることも。トイレや風呂などは共有とのことだが広々とした大浴場が完備されており毎日がスーパー銭湯。極端な人見知りでない限り快適な生活だと言える。賃料もシェアハウスなので安く上記の物件の場合は5万円~7万円程度。
田舎のシェアハウス
上記はシェアハウスの中でもハイクラスですが大多数のシェアハウスは普通の民家を改造したもので小規模な物件となる。福岡の田舎にある「いとしまシェアハウス」では食糧からエネルギーまで自給自足を行っているシェアハウス。古民家を手作りで改修して生活している。入居者は20代~30代の男女6人。都会の生活に疲れて田舎に移住する若者は近年増え続けており「いとしまシェアハウス」はそんな若者にとってはとても魅力的であり自給自足の生活スタイルは世界経済がどうなろうと影響をうけにくい。ある意味で最強なライフスタイルといえる。今回の寒波で水道管が破裂したと記述してあることから相当な寒さになっているのだろう。
地方都市のシェアハウス
シェアハウスの利用者の多くが若者だということなのでインターネットを活用した集客を行っていると推測。そこで地方都市にてシェアハウスの運営や活動を行っている人たちがどれくらい存在するのかを調べてみたところ想像以上に存在していることが判明。以下はシェアハウスのほんの一部です。
1.<北海道>株式会社MASSIVE SAPPORO(マッシブサッポロ)
2.<新潟>新潟しぇあはうす【PAT.P】
3.<宮城>コミュニティーシェアハウスLiberty
4.<金沢>シェアハウスONCE
5.<松山>ソーシャルマンション松山市泉町
6.<岡山>ギークハウス岡山
7.<広島>てんとうむし
8.<山口>やまぐちシェアハウス計画
9.<福岡>シェアハウスまたたび
10.<熊本>シェアハウスひだまり
どのシェアハウスも若者が仲良く暮らしている光景が掲載されています。これからの時代は混迷の時代。そんな時代だからこそ仲間や友人の存在が大きくなります。普段から仲間同士で助け合って生きていくことは今後のサバイバルでも効力を発揮することでしょう。
江戸時代には長屋というシェアハウスが存在した
現代はシェアハウスとなっている共同生活コミュニティですが江戸時代には長屋というコミュニティが存在していました。江戸時代の長屋はほとんど平屋建てで、玄関を入るとすぐ台所。路地に共同トイレがあり、風呂は無い。水は共同の井戸があったが、これは地下水をくみ上げるものではなく、神田上水から供給されていた水道水の取水口である。そのため水が桶に溜まるまで多少の時間がかかり、それを待つ間に近所の者で世間話をする「井戸端会議」という言葉が生まれた。
この写真を見てもわかるように部屋には収納スペースがほとんど存在しないために長屋には様々な生活物品を貸し出す損料屋(質屋を兼ねたレンタル業に相当)が発達した。私が幼少期の頃に住んでいた家が長屋みたいなところで隣のおばちゃんが「お醤油を貸して」とか「卵をわけてくれ」などと訪ねてきたりしたものだ。
このように昔は隣近所で助け合うのが普通であり、厳しい時代を力を合わせて生き抜いて行く力強さがあった。現代社会においては核家族化などという言葉まであり物質的な満足が得られた反面、精神的な繋がりが希薄になっている。そのような中で若者が昔のような「長屋生活」の価値観を持ち始めてきたのは大変に喜ばしいことだと感じる。
増え続けて行く空き家はシェアハウスとして賃貸する。
これが新しくもあり、古くからある日本人特有の文化でもあるビジネスモデルなのではないだろうか。とかく孤独になりがちな都会においてもこのようなシェアハウスが増えていってほしいものです。
この記事へのコメントはありません。