ロシアでは、銀行の勧めでマンション購入のローンをドル建てで組んだ3万人の人々が通貨ルーブルの下落で借金が2倍、3倍に膨らみ、社会問題となっている。
ロシアの国民は怒っている
ロシアでは昨今の原油安の影響でロシアの通貨であるルーブルに対してのドルレートが下がり続けている。銀行のススメで米ドル建ての住宅ローンを組んだ多くの人たちは自国の通貨が下がり続ける中で借金が2倍から3倍に膨れ上がり返済に窮している。そのような状況の中で、ついにロシア国民の怒りが爆発した。
では一体どのようにルーブルがドルに対して価値が失われたのか。それは下記のグラフをみて頂きたい。
このグラフを見てもわかるようにドルに対してルーブルは下落の一途を遂げている。
ロシアは今現在も共産主義国であり社会主義国である。強い指導者であり時に強権を発動するウラジミール・プーチン氏は過去に新興財閥のオリガルヒを国外追放した人物でも知られる。ロシアはあくまでも西側諸国の資本主義を受け入れなかった国だ。
過去に旧ソ連が国家破綻の危機に瀕した際には時の指導者であるブレジネフ書記長によってダーチャが全国民に与えられてハイパーインフレの中で自給自足が出来る環境下がロシア国民を食糧不足による餓死を免れる要因となった。
ロシア語でダーチャはダーチ(与える)という動詞に由来し名詞ダーチャは(与えられたもの)の意味である。これは1700年代にピョートル大帝が庭園付き 別荘を家臣の貴族たちに下賜したことに由来する。現在のような大衆的ダーチャは第二次世界大戦中から大戦後の食糧不足の対策として、市民に対し土地を与え るように州政府や国に要求する運動が起こり、1960年代にフルシチョフ政権が一家族に最低600ソートック(平米)の土地を与えるよう法制化したものである。
このまま米ドルが上がり続けるのか
その答えはNO。リーマンショック以降、先進国の全てが過剰な量的緩和を続けており株価の水準を維持するために貨幣の価値を下げ続けている。さらに米国では第2、第3のサブプライムローンが破綻する寸前の状況。日本と同様に米国も実体経済と金融市場の乖離が激しい。米国は昨年末に実体経済は最悪のペースで下降しているにも関わらず利上げに踏み切った。それは金融市場の崩壊後に自分の国だけ利上げする権利を有したいからに他ならない。
2008年の金融危機から最も量的緩和をしているのは米国に他ならない。つまり、米ドルの実質価値は地に落ちいてるということになる。ロシア国民が原油安の中で為替変動があり住宅ローンの返済に窮しているが米ドルの本質的な価値に世界中の投資家が気づき米ドルを売り浴びせるまでに時間はそうかからないと思う。
次の局面でアメリカの株式市場と米ドルは未曽有の下げが発生すると予測している。当然、日本の株式市場もそれに追従する形となるわけだが、その部分については近日中に掲載したい。
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