ここまで実体経済が破壊されているにも関わらず「景気は緩やかな回復基調にある」と日本政府は言っています。
11月中旬にGDP統計速報値が発表され前期比で0.2%減、年率換算で0.8%減という結果に
日本政府は2015年11月16日にGDP速報値を発表しました。GDP(Gross Domestic Product)とは一般的に国内総生産といわれる数値で一定期間内で生み出された付加価値総額のことです。この数値は景気の指標として引用されることが多く数値が上昇していれば景気が上がり、数値が減少していれば景気が悪くなっていることを意味します。
そして、このGDPの数値が2四半期連続でマイナスとなっているのです。これは完全に「景気後退」が加速している状態であるというのは誰でも感じること。今回、日本政府はこのGDP速報値を改定して前期比0.3%増、年率換算では1.0%増であると発表しています。一体どのような方程式を使えばこのような結果になるのかは解りませんが優秀な官僚の皆さまの努力によって数字のゲームが展開されているにすぎません。
アメリカも景気回復をアピールしています
アメリカも日本同様に実体経済を無視して数値の上では景気が回復していると発表しています。これは間もなく行われる利上げを意識してのものですが、実体経済は過剰なまでの貧富の差の拡大によって必ずしも数値通りにはなっていません。
以下のグラフをご覧ください。
原油価格の推移(2010年1月~2015年10月)
出典:世界経済のネタ帳
今年に入り原油価格は暴落しています。日本政府やアメリカ政府の言っているように景気回復が進んでいるのでしたら原油価格は上昇するはずです。しかしながら、現状はグラフを見てわかるとおりです。需要が無いので原油価格が下がっているのです。それも世界中の景気が急速に悪化していることを意味します。
今年に入りサウジアラビアは過去に前例がないほどの財政難に陥っており、保有している様々な資産・財産を売りに出して資金繰りを行っています。その中には当然のごとく「金」が含まれており金価格も下落傾向です。中東はイスラム国の一件で騒乱状態ですが国家的な財政難も同時に降りかかっているのです。
下がり続けるバルチック海運指数
2015年8月度の段階で1200ポイントあったバルチック海運指数ですが本日2015年12月8日現在551まで下落しています。バルチック海運指数とは世界経済の体温計と言われている指数で世界各国の貿易量の指標として使われる数値です。つまり夏以降の世界貿易は半分以下にまで落ち込んでいることを意味します。
これはリーマンショックの時を上回っているとも言われており、この勢いで指数が下がり続けるということは世界大恐慌に突入するということを意味します。この数値が回復する要因が無い現状では絶望的だともいえます。
是か非でも消費税増税を実行したい日本政府
日本政府もアメリカ政府も実体経済とはかけ離れた経済指標を発表するのには理由があります。日本は消費税増税、アメリカは利上げです。どちらの政府も実際には深刻なリセッション(景気後退)にも関わらず国内経済に更なる打撃を与える施策を実施しようとしています。アメリカの場合はある意味で前向きで自分勝手な施策です。詳しくは過去記事の米国の利上げが実施されるのが確実となってきましたをご参照頂きたいのですがアメリカは2008年以降の金融バブル崩壊に備えての利上げです。
対照的に日本政府は日本国債の格下げを死守するための消費税増税となります。表向きは消費税増税による税収は社会保障の一体改革に使うなどと言っていますがその本質は異なります。その隠された意図を日銀が発表した経済・物価情勢の展望(2015年10月)を読んでみると理解できます。
このレポートの内容を簡単に書きます。
国民の皆さんへ
2015年度下半期から2016年度にかけて景気は回復していくよ。
ただし、日本国の財政破たんの可能性を一般消費者が不安に考えて消費活動が鈍化する可能性があるんだ。
だから増税することによって消費者の不安が軽減されて消費活動が活発化していくはず。だから安心してね!
日本銀行より
なんじゃこりゃ大笑いです。
どこの世界に自国の財政破たんを気にして不安になり節約しようと考える国民や一般市民がいるのでしょうか?ここまでくれば経済状態が良くなっても悪くなっても消費税増税を絶対に実行するという意図が見れます。さらに財務省は「消費税を32%にしなければ財政破たんするぞ」と意味の解らないプロパガンダを繰り広げている始末。こんな状態で景気回復するわけもなく日本経済はこれからまだ本格的なリセッション(景気後退)に突入していく方向にあるということです。
さいごに
当ブログでは老後破産の問題などの年金にまつわる記事も書いてきましたが年金を考えるどころか、ここから先の3年間をどのように生存していくかを真剣に考えなくてはならない状況に追い込まれてきました。週末起業のたこ焼き屋も激動の時代にどのようにして生き残るのかを冷静に考えて対策を講じて行かなくてはなりません。
どちらにしても政府や組織は搾取はしても助けてくれることはありません。自分自身と家族や友人、その他の仲間たちで協力し合って生き抜いていくしか方法がありません。今の段階でもまだ遅くはないので自身のスキルアップや副業などの行動と密度の濃い人間関係を正しく構築していくことが重要だと言えます。
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