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サウジアラビアから金融恐慌が発生する可能性

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オバマ大統領が拒否権を発動していた「テロ支援者制裁法」が成立してしまった。

2016年9月28日、2001年9月11日に発生した911同時多発テロに関してサウジアラビアに対しての損害賠償請求を可能にする法案を再可決した。任期が残りわずかのオバマ大統領の拒否権は下院が賛成348、反対76で再可決。上院は賛成97、反対1という圧倒的な支持で覆された。

参考:米議会、オバマ大統領の拒否権初めて覆す 「テロ支援者制裁法」成立(ロイター)

この法案は、サウジアラビアを念頭に置いたもので、遺族などが外国政府を相手取り損害賠償を求めて提訴できるようになる」といった内容でありサウジアラビアは天文学的な損害賠償請求を要求されることになる。

サウジアラビアは原油の減産に合意したばかり

昨日9月29日の日経平均株価はサウジアラビアが原油の減産に同意したというニュースを好感し200円以上の上げ幅を記録した。サウジアラビアにとって原油の減産は絶対に選択したくないことだった。サウジアラビアは近年の原油安で財政的に追い込まれている。27日にはサウジアラビアが閣僚の給与を20%減額、公務員の賞与・手当の一部を廃止、公務員の休日を縮小するというニュースが流れたばかりだ。

これほどまでの緊縮財政を強いらなければならないということは国家財政が危機的な状況に追い込まれている事を意味する。このような状況の中での減産、そしてアメリカによる天文学的な損害賠償と続いた。サウジアラビアは国家破綻の危機に瀕している。

サウジアラビアの通貨は暴落して金利は暴騰している

サウジアラビアの通貨と金利

この1年足らずでサウジアラビアの通貨であるリヤルは暴落。その結果として金利は暴騰。国家財政が火の車となっている現在は多額の借入金が発生しているのだが借入コストも暴騰。サウジアラビアを取り巻く状況は極めて厳しいものとなっている。

サウジアラビアの借り入れコストが暴騰

参考:zerohedge

米国債を売却しようとしているサウジアラビア

2016年4月16日の段階でサウジアラビアはサウジアラビア政府に対して損害賠償請求を可能にする法案が米議会で採択された場合には7500億ドルで米国の資産を売却する意向だと発表している。ここで言うところの米国の資産とは一体なんだろうか。それは米国財務省証券。つまり米国債である。

日本円にして75兆円もの米国債を売却すると言っているのだ。サウジアラビアは今回の法案が可決されると天文学的な賠償請求が発生することが解っており支払う余力のないサウジアラビアは米国によって保有している国債の凍結をされると危惧しているのだ。

もし仮にサウジアラビアが膨大な額の米国債を一度に売却するとしたら米ドルは売られて極端な円高が日本を襲うことになる。そのようなことになると株式市場は大暴落となるのは必至。サウジアラビア発の金融恐慌が発生する可能性がある。

ただでさえ財政悪化によって資金繰りが苦しいサウジアラビアは保有している米国債が凍結される前に売却したいというのは本音なのではないだろうか。独立行政法人経済産業研究所の上席研究員の藤氏は以下のようなレポートを発信している。

米バブル市場はサウジアラビアからの一撃で崩壊か。米国が恐れるサウジアラビアの米国債大量売却。

サウジアラビアは、1168億ドル(今年3月時点)という巨額の米国債を保有している。資産売却の容易さから見て、サウジアラビア政府が最初に手をつける のは米国債だとされている。実際に、米情報サイト「Zero Hedge」(9月9日付)は「テロ支援者制裁法の米下院成立で米国債10年物に売りが出た」と報じた。

出典:独立行政法人経済産業研究所

今回の件でサウジアラビアが保有している米国債を売却しようものなら米国バブル経済は大きく弾ける。そして株式市場は大暴落となりリーマンショックならぬサウジショックとなる。ただでさえドイツ銀行の経営危機など世界金融恐慌のトリガーになる要素が数多くある中で今回のサウジアラビアの件は市場心理の悪化を加速させる材料として十分だ。

しかしながら、今回アメリカはサウジアラビアを究極的に追い込んでしまった。もはや実質的に力を持たないオバマ大統領に統制能力はないと言っても過言ではない。

サウジアラビアと米国の関係は大統領選挙にも関係している

実はサウジアラビアと今回のアメリカ大統領選挙は関係が深い。というのもクリントン候補はサウジアラビアから資金援助を受けていたからだ。アメリカ大統領選挙と言えば先日行われたテレビ討論会がある。テレビ討論会における国民の評価はクリントン氏が優勢だと判断。その結果、ニューヨークダウは上昇した。

クリントン氏が、トランプ氏に対して「いまだに確定申告書を公開していないではないか」と指摘してトランプ氏が言葉に詰まったシーンが決定的だという見方もある。しかしながら、そんなことは今回のサウジアラビアの件に比べれば大したことではない。

内部告発および情報漏洩の情報を伝えるウェブサイトウィキリークスの広報人であり編集長であるジュリアン・ポール・アサンジ(Julian Paul Assange)氏がヒラリー・クリントンはサウジアラビアから資金援助を受けているとリークしたのだ。

アサンジ氏

出典:wikipedia

「サウジアラビアとヒラリー・クリントン氏の関係、サウジアラビアとクリントン財団の関係の規模は非常に大きい。おそらく、サウジアラビアはクリントン財団の最大の単独のドナーだ。ヒラリー氏が米国務長官を勤めていたとき、武器輸出の領域でどのような政策を取っていたか見てください。ヒラリー氏は非常に、非常にサウジアラビアに好意を持っている」

続きを読む: https://jp.sputniknews.com/politics/20160807/2607864.html

この段階では「非常に怪しい噂」レベルの話しだったのだがイルナー通信によると、サウジアラビアの副皇太子のサルマン国防大臣がクリントン前国務長官の選挙資金の20%以上を提供していたことを認めたというのだ。

アメリカでは大統領選挙の選挙資金を他国から受けるのは違法とされておりヒラリー・クリントン氏は大統領選挙に参加する資格がないことを意味する。そうするとドナルド・トランプ氏が米国の大統領になる確率は極めて高くなる。トランプ氏が大統領になるとどうなるのか。大多数のメディアはトランプ氏が大統領に就任すると世界経済に多大なダメージがあると報じている。

これから年末にかけて注意深く情勢を見ていかなくてはならない。

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