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週末起業でたこ焼き屋

豪雨災害と飲食店

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2018年7月、未曾有の豪雨災害が発生。数多くの人々が被災し大災害となった。一晩で全く違う世界となった日。

その日、夕方から特別警報が発令されていた。大雨が降るのは覚悟で店はいつも通りにオープンすることに。一昨年も大雨が降った中で営業した経験があったので、ある程度は覚悟が出来ていたが今回ばかりは様相が違った。

18時過ぎだっただろうか、しとしとと降り続いていた雨が一変。バケツをひっくり返したような雨となる。私のビルの目の前にある道路もみるみるうちに水位があがり「まるで川のように」なった。近隣のお店は即席の土嚢などを店先に積み床上浸水を防いでいた。

この段階で前回の豪雨とはレベルが違うことを感じた。

テレビでは「とにかく命を守る行動を」と必死に訴えており今回は大変なことになるのではないかと感じた。大雨が降り続く中でもお客様は店にやってくる。いつも通りの調理と接客をしていく訳だが閉店時にインターネットで雨雲レーダーを見ると明け方にかけて18時台に降ったような豪雨がやってくるのだとわかった。その日は何事もないことを祈りつつ眠りについた。

目が覚めたら大変なことになっていた。

街中は目に見えるような被害は無かったものの郊外の傾斜地においては土砂崩れや河川の氾濫による甚大な被害が出ていた。「これは大変なことになった」その後はテレビ報道で見た通りの惨劇となる。

災害発生から2日目に被災地に差し入れに行くという方がいらっしゃったので必死に差し入れ用のたこ焼きを焼いて託した。被災地では、おむすびなどが中心となる中で少しでもバラエティに富んだメニューとして喜んでもらえたと思いました。

そして繁華街はゴーストタウンになった。

そして、その翌日からの繁華街はゴーストタウンになっていた。被災した方は当然のことながら被災していない方も自粛ムードで街に繰り出さなくなったからに他ならない。私が独自でリサーチした結果、例年の7月と比べて繁華街に出ている人は6割減。私を含む近隣の飲食店の売上も前年比の50%内外となり極めて苦しい状況に追い込まれた。

このような事を書くと「不謹慎だ」とお叱りを受けそうなのだが私は事実を淡々と書いていくだけ。

7月は初旬にワールドカップがあり、その後プロ野球の試合などがあって第一週は不振続きだった上に今回の災害によって繁華街で営業する大半の店舗は売上が激減している。

悲痛な叫びを聞く日々

飲食店でさえ、このような状況なのだからスタンドやラウンジのような女の子のお店はさらに悲惨な状況となる。災害後の一週間は後半の深夜帯に近隣のお店のママさんたちが「1人」で数多く来店された。普段はいわゆる「アフター」と呼ばれるお客様との閉店後の食事に来ていたママさんたちが1人で訪れるようになっていた。

「マスター、今日はねボウズだったの」ボウズとは業界用語で来客数ゼロを意味する。水害をきっかけに自粛モードになった繁華街はゴーストタウン。1人で毎晩のように来るか来ないかわからないお客様を待ち続けているママさんたちの表情は絶望感に満ち溢れていた。

そしてママさんたちは来なくなった

水害発生後、二週間目。ついに愚痴を言いに来るママさんたちの姿を見ることはなくなってしまった。限界なのだ。そう、暇でも忙しくても問答無用にやって来る家賃・人件費・光熱費などが重くのしかかった結果、愚痴を言いに深夜の飲食店に行く元気が無くなった事を意味します。

私のお店に来る大企業のサラリーマンの多くは「会社から自粛をしなさいと通達が出ています」と言っていた。しかしながら、自粛も行き過ぎると繁華街のネオンを確実に1つずつ消していく。被災された方には心の底からお見舞いを申し上げたい。けれど、地域経済もまた重要なこと。復興後に私の生息する繁華街のネオンが消えてなくならないことを祈るばかりである。

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