今年に入ってからのスタグフレーションによって人々の娯楽に費やす予算は極端に少なくなっていると感じる。
2018年の繁華街
毎年のように「この状況はひどい」と書いているが、また記録更新しなくてはならなくなっている。今年に入り、繁華街の経済状況は極めて深刻な状況に陥っている。簡単に表現すると「1月より2月、2月より3月」といった感じで街全体が右肩下がりになっている。
これは恐らく私の活動している地方都市だけではなく全国的な現象なのではないか。私のような飲食店の売上が低迷して来ると当然「夜の蝶」を求める人たちも少なくなっていく。その結果、深夜に来店してくれる数多くのカラオケスナックのママさんたちの悲鳴を聞くこととなる。
カラオケスナックという業態は厳しさを増している
男性が繁華街でお腹を満たした後は「女の子」を求めて社交の場に赴くのが通常のパターン。
スナックのママさん達は、そんな男性を「若い女の子の雇用」という形で期待に応えてきた。男という生き物は単純だとつくづく思う。とにかく若い女の子と楽しい会話がしたいのです。
若い女の子と一緒にお酒を呑むことには財布の紐も緩んでいきます。
スナック(あるいはスタンド)という業態は極めて利益率が高い。私のような飲食店からしてみると夢のような料金形態です。お客様は店内に入った段階でチャージと呼ばれる謎の料金が加算される。
チャージとは入店料金で場所代なのですが実質は家賃補助。席に座りおしぼりを渡されて乾き物と(大体の場合お菓子)と酒が出てくる。驚くのはボトルキープというシステム。お客が自らのお金で酒を買いお店に預けているのです。
つまり、スタンドという商売は家賃・酒代をお客様に負担してもらう驚異的な利益率のビジネスなのです。お店のママが負担する経費は人件費がほとんどを占める。
ママが1人で営業するスタンドのビジネスモデルを簡単にシュミレーションしてみる。
- 家賃 10万円
- 光熱費 1万円
- カラオケリース料 4万円
- 酒代 基本はボトルキープなのでお客様が負担
1ヵ月の来客数がゼロでも1ヵ月間のランニングコストは約15万円となります。
客単価をチャージ料金込みで1人当たり5,000円と仮定して1か月で30人のお客様が来店したらトントンとなる。1週間に1日ほど店休日をとるとして26日営業日だとすると1日平均1.15人ほどの来客数でランニングコストは賄える。ただ、この場合ママの給与は捻出できないので実際には1日平均最低でも3人~4人程度の来客数が必要となる。
でも、1日平均3人~4人程度のお客様で成り立つ商売。私のような飲食業から見ると驚異的な利益率といえる。
週末だけ若い女の子を雇用するのが通常のパターン
大多数のスタンドは来客が集中する週末だけ若い女の子を雇用する傾向が強い。私が聞いた限りでは女の子の時給は1時間あたり平均で1,700円ほど。スタンドというビジネスで最も経費がかかるのは人件費となる。最近の繁華街は週末だけ盛り上がり平日は閑散な状況が続いているためか週末だけホステスさんを雇用するという店が大半。
もし、私がスタンドを経営するならば逆に平日に若いホステスさんを雇用する戦略をとる。なぜならば競合他社がいないから。少しでも独自性を出していかなければ厳しいのが夜の業界。昼キャバが流行っているのもそのような理屈なのだと思う。
今年に入り数多くのスタンドやスナックが閉店に追い込まれている
この事に関しては理由は簡単。
来客数が激減しているから。今まで来店していたお客様の来店頻度が低くなり、紹介新規のお客様も激減。少しでも傷口が広がらない間に店じまいするママが多い。まだ、家賃の滞納もなくキレイに廃業できるなら運河良いほうだと思う。大半は家賃も酒代も滞納した状態で終焉を迎える。続けるも地獄、辞めるも地獄。これが店商売の最後。
繁華街から「夜の蝶」が消えた後は街自体の存在理由もなく私の店も閉店に追い込まれていくのかもしれない。
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