株式市場は日経平均株価17000円台を回復。その背景では破壊され続けている実体経済が存在する。
米国も日本も市場原理とはかけ離れた相場環境となっている
2016年9月5日に日経平均株価は17000円台を回復。日銀やGPIFによる資金投入に一般投資家が乗った結果の数字である。ここ近年の株式市場は中央銀行などの資金投入によって官製相場が続いている。その昔は今の株価は3カ月後の実体経済を現わすなどと言われていたが、そんな話は現在において通用しない。
官製相場によって株価は上がっているものの外国人投資家は日本株の売り越しを4カ月も続けている。日本人投資家は日本銀行のバックアップがあるからと安心して株式を購入しているが外国人の見方はシビアだ。外国人投資家は日銀が永遠に株式市場を牽引できるとは思っていない。さらに実体経済との乖離を不安視していると言える。
繁華街の様子は悲惨そのものだ
7月・8月の繁華街は悲惨な状態に陥っている。特にお盆明けの売上不振に悩む飲食店経営者が多い。週末には私が週末起業のたこ焼き屋を始めて以降、目にしたことのない状況が繰り広げられている。それは何かと言うと繁華街に人がいないのではない。週末の繁華街には若い人で溢れかえっている。深夜になっても人通りは衰えず一見とても活気があるように見えるのだ。
しかしながら、飲食店の売り上げは極めて厳しい状況となっている。つまり、人はいても飲食店に入らないのである。それでは彼等は一体なにをしているのか。コンビニで缶ビールとお菓子を買い、道端で飲んで友達と話をしているのだ。最近では夜のお店にお金を落としていたサラリーマンの姿は少ない。もっぱら若者が繁華街を歩いている。しかしながら、彼等の財布の多くは数千円程度しか入っていない。
強烈なデフレの波が繁華街を襲う
売上が立たない飲食店の多くが価格を下げる。例えば生ビール一杯200円といった具合だ。そうすると価格を下げたくないお店も競争原理が働いて価格を下げていく。一部の富裕層相手のお店以外は下がり続ける粗利の中で無理をして販売価格を下げているのだ。しかしながら日銀の官製相場も飲食店の値下げ競争も永遠に続くことはない。私の感覚では飲食店のデフレ化は既に限界に達しており、このままの状況が続けば資金ショートする飲食店が続出していくはずだ。
実は今年に入り、酒代や食材費は上昇の一途を遂げている。特に酒代などは3割も上がった酒類も存在する。原価が上がり販売価格が下がるとなると利益が圧縮される。徹底したコスト削減も限界があり、今がちょうど限界点だと言える。
店舗面積が大きな路面店の家賃は殺人的である
昨年に飲食店を開業して以来、数多くの飲食店経営者と知り合いになった。その多くが路面店なのだが下がり続ける売り上げの中で据え置きの家賃に苦しんでいる。私の住んでいる政令指定都市の繁華街中心部では路面店ともなると一坪が3万円台の家賃はざらである。仮に30坪の路面店を営むとすると家賃は一カ月に約100万円。それに加えて最初に塩漬けされる保証金は約10か月。なんと1千万円もの資金が塩漬けとなる。
家賃だけで100万円。そんな経営環境の中で一品が数百円の飲食メニューを提供していかなくてはならない。景気の良い時に借りているお店ほど家賃負担が大きく、老舗になればなるほど家賃に苦しんでいる。実体経済と乖離しているのは株価だけではない。家賃もまた乖離している。
このような状況の中で次なる金融危機が訪れたらどうなるだろうか。
想像するだけで恐ろしくなるような状況が待っている。株価のピークだと考えていた8月29日からジリジリと株価は上がってきたが、そろそろ限界なのではないかと考えている。先日、発表された米国のサービス業購買担当者指数は予想を超えた悪い数字となった。このような状況の中で利上げすることは不可能に近い。疲弊している世界経済の最後のけん引役であるアメリカも、その実態が浮き彫りになってきた。このような流れは近いうちに株価が急落するのではないかと考える理由として十分だ。
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