城南信用金庫が緊急提言を発表。30兆円もの年金をリスクの高い株式市場に投入して失敗している日本政府に対してのものだ。
ついに金融機関が警告を発した
東京都品川区に本店を置く城南信用金庫が現在の危機的な状況を鑑みて緊急提言を発表した。城南信用金庫とはどのような金融機関なのか。以下が組織概要となる。
創立 | 昭和20年8月 |
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会員 | 313,701名 |
店舗 | 85店(東京都55店、神奈川県30店) |
従業員 | 2,126名 |
本店 | 東京都品川区西五反田7-2-3 |
総資産 | 3兆7,312億円 |
預金 | 3兆5,121億円 (注)譲渡性預金67億円を含む |
貸出金 | 2兆383億円 |
自己資本比率 | 11.06% |
営業地域 | 東京都全域 神奈川県川崎市、横浜市、相模原市、大和市、厚木市 海老名市、座間市、藤沢市、伊勢原市、綾瀬市、平塚市 秦野市、茅ヶ崎市、鎌倉市、高座郡、愛甲郡 |
私の住んでいる街で一番大きな信用金庫の約3倍の規模の信用金庫となる。このような大きな信用金庫が一体どのような緊急提言を発表したのか。PDF形式で公表しているのでPDFが読めない人に対する配慮として以下に転載する。
緊急提言 城南総合研究所
株価暴落が止まらない。まさに世界経済の危機的な状況だ。しかも、日本経済にとっては、2008年のリーマン・ショックよりも深刻な事態だ。国民の大切な年金資産が瞬時にして30兆円以上も消滅した。
政府は、昨年来、株価を強引に引き上げるために、国民の年金資産(GPIF)の140兆円、国家公務員などの3共済などの30兆円を、危険を承知で、国内株に25%、海外株に25%投入。さらに日銀も巨額の資金を追加投入した。これは国民の大切な年金資産を危険にさらす無謀なやり方だが、それが完全に裏目に出た。
政府の大失態である。
しかも、ウォール街などの海外投資家は、日本が買い支えている間に、したたかに売り逃げた。日本のクジラに買わせておいて、逃げ場をふさぎ、後から売り浴びせて暴落させるシナリオであり、かつてのバブル崩壊と同じ構造だ。
日本国民は完全にババをつかまされたのだ。
グローバル資本主義という美名のカジノ・ゲームがウォール街の本業であることは、誰でも知っているはずなのに、これを手引きした財務官僚は、ウォール街の手先と言われても仕方がない。このままでは、世界も日本も壊滅である。それを防ぐための緊急提言をしたい。「酷税3兄弟」を放置すれば日本経済は壊滅する。
まず「消費税」をやめて5%水準に戻すことだ。アベノミクスのつまずきは、税金配分の権限をふやそうという財務官僚の利権に配慮したことだ。日本は世界最大の資産大国であり財政赤字や国債残高など気にすることはない。日本株式会社は、資産と負債の両建てで、貸借対照表が大きくなっているだけで、経営はびくともしない巨額の自己資本を持っている。
「相続税増税」と「マイナンバー導入」もただちに中止すべきである。アベノミクスの本質は、円安とインフレによる資産効果だから、相続税があがれば、効果が消滅してしまう。またマイナンバーは、全国の歓楽街の灯を消すなど、広範囲に影響が波及して、日本経済に深刻なダメージを与える。
日本経済の税収弾性値は5だから、減税して経済成長すれば、逆に国の税収は増えるのである。
金融緩和は必要だが、そもそも金融だけで景気拡大は無理だ。金融のアクセルを緩めることなく、さらにふかしつつ、財政面では減税を実施し、さらに新たな成長戦略が必要なのだ。その切り札が、エネルギー革命だ。いま、欧米は「原発ゼロ」を決断し、自然エネルギーへの転換を全力で推進し、中央だけでなく地方も含めた、持続的かつ力強い経済成長につながっている。
GEもシーメンスも風力や太陽光、地熱などのプラントで空前の売上げと利益をあげているが、日本企業は大幅に後れを取っている。農地に太陽光パネルをはるだけで農作物の収穫は増え原発700基分=国内需要の5倍の電力が確保できる。さらに地熱や風力、バイオ、石炭ガス化などの新火力、水素、ミドリムシ、スマートグリッドなど、未来を拓く成長分野が数えきれないほどだ。
「先端技術国日本」の出番が無数にある。城南総合研究所の初代名誉所長であった故加藤寛慶応義塾大学名誉教授は、遺作となった「日本再生最終勧告―原発即時ゼロで未来を拓く」において、「原発即時ゼロ」を決断し、新エネルギー産業を推進すれば、日本経済は力強く発展、成長すると述べた。
その遺志を受け継がれた、元内閣総理大臣の小泉純一郎名誉所長が強調されているように、今こそ、この「最終勧告」を実行し、自然エネルギーなどのエネルギー革命推進による、日本列島全域の日本成長戦略を全力で推進すべきである。
<城南信用金庫緊急提言>
ここでは原発に関する内容はさておき世界経済が危機的な状況にあり、このまま日本の政策を進めていくと日本は破滅するという内容に着目したい。正直なところ私自身も全く同意見。当ブログでも年金の投機やマイナンバー制度などのテーマを度々取り上げている。
今回の緊急提言はワイドショーに出演するような経済アナリストの個人的な見解ではなく日本の正式な金融機関が発表しているわけであり前代未聞といえるのではないだろうか。それだけ現在の日本が置かれている状況は危機的な状況であるということに他ならない。
実際、私がたこ焼き屋をやっている繁華街ではマイナンバー制度によって衰退していくと言われている。今年に入り繁華街を歩く人は確実に少なくなっている。株価が上がっただけで実体経済は良くならない。また、円安になったからといって輸出企業が潤い実体経済が良くなるとも思わない。日本は既に貿易の国から内需の国へとシフトしている。
最大の景気対策は国民の大切な年金を株式市場やジャンク債に投機して株価を買い支えるのではなく減税だと思う。事実、消費税増税以降は急速に景気が悪くなっている。本日の国会中継で内閣総理大臣の安倍首相は2017年4月に予定されている消費税増税について「リーマン・ショックあるいは大震災級の影響がない限り上げる、その考えは現段階で変わりはない」と言っているが既に景気条項を外しているのだからリーマンショックがあろうが大地震があろうが消費税は上がる。
つまり、このままいくと確実に凄まじいリセッション(景気後退)になるのは確実ということだ。
今回のような大きな危機に対して私たちが出来る対策は限られている。しかしながら最大限ベストを尽くしていきたい。
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