アメリカは自国の経済が順調に回復していると利上げを実施。しかし実体経済は疲弊し続けている。その結果、米国の株式市場は下降局面に。
利上げは継続して行われる
利上げ実施後に株価が上がったのは翌日の1日のみ。翌週のニューヨークダウは毎日数百ドル単位で下がり続けています。それに呼応する形で日本や世界中の株価も下降局面に。しかも、利上げは一度きりではなく継続して実施されるというのだから驚きです。このまま推移して行けば来年2016年の世界経済は大混乱に突入する可能性が出てきました。
原油価格は限界まで下がり続けている
上記のグラフは年別原油価格のチャートです。これを見ても解るように現在の原油価格は限界点まで下がり続けています。産油国の多くは生産調整をしたいところですが下がり過ぎた状態で生産調整するということは売上がたたないことを意味しますので無収入でもやっていける体力が必要となります。しかしながら、長期間における原油価格の暴落は産油国の体力を奪い続けており既に危機的な状況にあることを意味します。
原油価格は限界まで下がりますが、いずれどこかのタイミングで大反発すると私は考えています。中東諸国は他国に多額の借金をしています。その返済原資は原油の輸出による売上ですが、その売上がとれていないのです。サウジアラビアなどは返済するために資産を売却し続けているのが現状です。信用性の低い債券であるハイイールド債が大暴落していますが本質的な理由は原油価格の暴落と深く関係しています。
原油を生産する会社の連鎖倒産が起きる
原油価格の暴落によって原油を掘削している会社の多くが倒産することになると私は考えています。つまり任意での生産調整ではなく市場原理的な生産調整が行われるのです。世界経済が減退している中で正常な原油の大量消費は望めません。ですので、原油の消費量が増えて原油価格が高騰するシナリオは皆無ということになります。
原油掘削会社の多くが倒産・閉鎖したあとは原油価格の暴騰が発生します。ここからが重要なのですが現在の日本経済はインフレではなくスタグフレーションだということです。格差は大幅に拡大して大多数の人たちの給与は上がらず増税。その上で生活必需品の価格高騰で人々は疲弊し続けています。唯一、救われているのは原油価格の暴落によって電気代や物流費が安くなっていることです。このような状況の中で原油価格の暴騰が起きたらどうなるのか。想像したくない話です。
量的緩和をすることが出来なくなる事態に
世界中の中央銀行は「デフレ脱却のため」というのを大義名分に量的緩和を続けています。量的緩和を実施して日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が資金を株式市場に投入して株価を下支えするといったことをしています。しかしながら、原油価格が大幅上昇するとどうでしょうか。世界中の国が「強制的に」インフレに突入することになり、各国の中央銀行が量的緩和し続けることはできなくなります。つまりその時が本当の意味での世界金融市場の崩壊ということになります。
その時に独り勝ちしようとしているのがアメリカです。アメリカは量的緩和バブルの終焉に備えて自国だけ利上げに踏み切りました。世界中の国々の中で再度の量的緩和を実施する事ができる国はアメリカ以外には存在しません。今回の利上げ実施を見てアメリカとは自国の利益のみを優先している国だということを再確認しました。
世界秩序が崩壊する時に金融市場崩壊が訪れる
世界各国の中央銀行が量的緩和という麻薬において協調的に行っていくことによって金融市場崩壊を防いでいるのですが、アメリカのような国が自国の利益を追求するあまりに自分勝手に利上げをしはじめたのが現在です。近い将来、世界各国それぞれが自国の経済を守るために国際秩序を無視して利上げに方向転換してくることは確実だと言えます。アメリカの言うがままに動くのは日本くらいのものではないでしょうか。世界の中央銀行の秩序が崩れた時に金融市場の崩壊は訪れます。
さいごに
今年も残すところ10日あまりになりました。今年のお正月は例年になく緊張感を持った状態で迎えなくてはならないと感じています。覚悟をしたうえで最後までベストを尽くしていきたいと考えています。
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