いよいよ地方銀行が不動産投資に対して慎重になってきた2015年12月。表面利回り6%でも動く投資物件。もはや不動産バブルはピークを迎えている。
不動産バブルは崩壊寸前
アベノミクスに呼応した日本銀行の黒田総裁は量的緩和を進めて市中にお金を過剰供給。その結果、行き場を失った資金は株と不動産に流入して価格が高騰。投資用物件の多くは幾度となく転売され利回りが低い投資物件も動くほどまでに。
不動産バブルに拍車をかけたのは富裕層の相続税対策と富裕外国人による日本国内の不動産投資です。地方都市ではあまり見られませんが主に首都圏の高層タワーマンションなどの物件を数多くの外国人投資家が購入しています。しかし、この流れもそろそろ終焉の方向に流れてきました。
次なる投資対象は会社
M&A(Mergers and Acquisitions)とは企業の合併や買収を意味します。広義には資本参加も含まれており部門譲渡や資本注入といった様々な形があります。通常M&Aはアドバイザリー役の仲介業者が介在して行われます。仲介業者は「売りたい人」と「買いたい人」をマッチングさせて仲介手数料を取ります。一般的に3%~5%程度の仲介手数料が発生します。
不動産の売買と違い免許も必要なく登録事業者の届出も必要ないので極端に言えばだれでもM&Aの仲介業者になることが可能です。実際には様々なノウハウや情報力が必要となりますので「誰でも」ということはないのですが法的に考えるとなんの制約もないビジネスです。
日本のM&A件数は25年間で約10倍に
日本におけるM&Aの案件数は右肩上がりで、1985年には年間260件の成立案件だったものが2006年には2775件と約10倍になっています。ITバブルの時にはかつてのライブドアなどが積極的M&Aによって急成長したのを思い出します。20年前は大企業しか行っていなかったM&Aも現在では中小企業も積極的に行っています。
以前は大企業が海外企業を買収するケースが多数を占めていましたが現在では日本企業同士の買収が盛んにおこなわれています。さらに昔は買収した企業を吸収し合併するケースが多かったのに比べて現在は法人格をそのまま残して別法人として運営していくのが一般的になっています。
買うほうも売るほうも事情は様々
中小企業同士のM&Aは私の昼間のお仕事の一つでもあります。買うほうも売るほうも事情は様々あります。以下は動機の一例です。
<買いたい企業>
- 売上規模を手っ取り早く拡大したい
- 外注に出していた仕事を自社の事業として行いたい
- 事業を多角化したい
<売りたい企業>
- 後継者がいない
- 新規事業を行うために現在の事業を売却したい
- 現在の事業が将来的に伸びないことが予想されているため
- 業績が悪化して経営的に危機的状況にある
- 信用性を高めるために大手企業の資本注入を望んでいる
上記のような動機が見受けられます。業績が悪化している企業は銀行からの情報等で表面化しやすいのですが、その他の事情を抱えている企業の情報の多くは水面下に眠っています。このような情報をいち早くつかむのが仲介業者の腕の見せ所とも言えます。
ほとんどのケースが目論み通りにはいかない
企業を買収する際は試算表から始まり各種の帳簿を見ることになります。また、従業員に関することや会社の信用度など多角的に分析して値段とリスクを決定していきます。しかしながら事前に入念なチェックを経て買収しても予期せぬトラブルや売り上げ低迷など当初の目論み通りにはならないことが大半です。
ですので、企業買収を行う際は最低でも月商の数か月分の余剰資金を残した形で買収することが理想です。ここに関しては不動産も同様です。例えばビルを買うにしても築年数から想定される修繕費用を購入金額から差し引くなどということも行われています。しかしながらM&Aは不動産と違い複雑な要素が絡み合っていますので、そう簡単には算定することが出来ないのが現状です。
さいごに
2016年は不動産に向かっていた資金が企業買収に向かうことが予想されています。基本的には許認可も資金も必要としないM&A仲介業ですので知識と人脈と情報が手に入る方には有望業種の起業となります。心当たりがある方は検討する価値があると思います。
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