今年もインフルエンザ・ノロウイルスと飲食店経営者にとって頭が痛い季節となりました。細菌とウイルスは根本的に違うため予防対策の方法も異なります。
細菌とウイルスの違い
多くの人は細菌とウイルスを同じようなものだと考えているのではないでしょうか。しかしながら細菌とウイルスは根本的に違うものです。最近は栄養素を自ら取り込み自己増殖するのに対してウイルスは単体で自己増殖することができません。よく食パンにカビが生えますがあれは最近の仕業です。食パンが持っている栄養素を取り込み自己増殖していきます。
飲食店においては「食材の腐敗」を意味します。つまり腐った食材を臭いや見た目で判断することが出来るのでウイルスよりも対策は簡単です。問題はウイルスのほうです。ウイルスは他の生物の細胞に住みつき増殖していきます。つまりノロウイルスによる感染症やインフルエンザなどがそれにあたります。
ウイルスの中でも飲食業にとって最も危険なノロウイルス
近年の食中毒は細菌による腐敗が原因の食中毒に比べてウイルスによる食中毒がはるかに件数が多く中でもノロウイルスによる食中毒が大幅に増加しています。食中毒と言えば夏場に多いと思われる方が多いと思いますが実は冬場のほうが多く発生しています。
11月~2月くらいが発生のピークですので今の時期は最もリスクが高い時期だといえます。またノロウイルスは大規模な食中毒に繋がるケースが多く発生させた飲食店は信用力の低下だけにとどまらず最悪の場合は営業停止などの行政処分を受けることにもなります。
トイレには十分な注意が必要
ノロウイルスの感染場所で最も多いのはトイレです。大多数の人は洋式トイレの蓋を閉めずに流していると思いますがふたを閉めずに流した場合、周辺の空間に霧状の水分が飛散します。発症していない人でもノロウイルスを持っている人がいます。そのような人が利用したトイレは当然ノロウイルスが存在しますのでそこから食器や食材にノロウイルスが付着するといった事例も数多く存在します。私のお店ではトイレを利用するお客様に「ふたを閉めて流してね」と一声かけるようにしています。
また、毎日のトイレ掃除の際には次亜塩素酸ナトリウムを含んだ漂白剤を含ませたペーパーで便器全体を隅々まで拭き掃除しています。キッチンハイターなどが次亜塩素酸ナトリウムが含まれた製品です。
牡蠣の食あたりはノロウイルスが原因
ノロウイルスはタフなウイルスで過酷な環境下でも長く生存します。家庭の生活排水やトイレの排水などに含まれるノロウイルスは極めて小さいため浄水場のフィルターを通過して海に放出されます。ちなみに細菌の大きさは5000ナノメートルなのに対してウイルスは100ナノメートルという極めて小さい生物ですので浸透膜・逆浸透膜レベルでなければフィルタリングすることはできません。
海に放出されたノロウイルスは海水でも生き残り牡蠣などの二枚貝に寄生して増殖するので牡蠣は生で食べない方が良いとされるのです。恐るべきノロウイルスですが対策法もあります。
次亜塩素酸水を活用してノロウイルス対策
私のお店の場合は提供している料理がたこ焼きですので食べ物から感染することは考えられません。何故ならばたこ焼きは非常に高温で調理しますのでさすがのノロウイルスも生存し続けることは不可能です。考えられる感染源としてはトイレやカウンターなどの店内設備が想定されます。
そこで次亜塩素酸水(Hypochlorous Acid Water)を活用してノロウイルス対策を実施していきます。次亜塩素酸水は平成14年6月に食品添加物として厚生労働省に認められた殺菌剤です。次亜塩素酸水は強酸性次亜塩素酸水(0.2%以下の塩化ナトリウム水溶液を有隔膜電解槽(隔膜で隔てられた陽極及び陰極により構成されたものをいう。)内で電解して、陽極側から得られる水溶液です。自作しても良いのですが市販されているものがありますので私は下記の商品を使っています。
その名もずばり「ノロキラー」です。ちなみに次亜塩素水と次亜塩素酸ナトリウムは違う物質ですので注意が必要です。次亜塩素酸ナトリウムの漂白剤は「まぜるな危険」の表示があるハイターなどの商品です。殺菌能力は高いのですが同時に人体に対しても影響がありますのでカウンターなどの消毒には次亜塩素水を使いましょう。
さいごに
飲食店を営んでいる以上、避けては通れない食中毒対策。目に見えないウイルスとの戦いは深い知識と日々の地道な努力が必要です。私のお店では当然のように毎日の掃除は欠かせませんが中には衛生状態が悪い飲食店も存在します。ノロウイルス感染者が増加するこの時期は衛生的な飲食店の利用をおすすめします。
また、ノロウイルスに感染しても免疫力が高い場合には発症しにくい傾向がありますので日頃から睡眠をとり規則正しい生活をしていくことがノロウイルス発症予防に繋がります。
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